今回は富士フィルムXシリーズの最新機種X-E4に搭載されている18種類のフィルムシミュレーションの比較レビューを紹介します。
フィルム製造メーカーとして培われた素晴らしい色づくりをデジタルで楽しむことができるフィルムシミュレーション。私はもともとSonyユーザーでしたが、このフィルムシミュレーションが気になって富士フィルムに乗り換えました。
今回はそんなフィルムシミュレーションの比較レビューをして、皆さんにお気に入りのフィルムシミュレーションを見つけていただきたいと思います。
富士フィルムのフィルムシミュレーションとは
富士フィルムから発売されているデジタルカメラXシリーズとGFXシリーズに搭載されている富士フィルム独自のカラー設定です。80年以上に渡るフィルム製造で培ったノウハウを注ぎ込んでおり、「PROVIA」「Velvia」「ASTIA」「ACROS」などはフィルム名をそのまま踏襲しています。フィルムシミュレーションは、被写体や撮影シーン、 表現意図などに合わせて全15種からまるでフィルムを交換するような感覚で楽しめます。
名称 | 特徴 |
PROVIA/スタンダード | 標準的な発色と階調で人物や風景など幅広い被写体に適しています。 プロ用のリバーサルフィルムのスタンダードタイプ「フジクローム・プロビア」がベースとなっており、多くの方が心地よく感じる色再現を追求し、風景から人物まであらゆる被写体に対応するオールマイティなフィルムシミュレーションです。 |
Velvia/ビビッド | 高彩度な発色とメリハリのある階調表現で風景・自然写真に適しています。 プロ用超高彩度リバーサルフィルム「フジクローム・ベルビア」がベースとなっており、スタンダードな「プロビア」に対し風景写真家が期待する鮮やかでメリハリのあるイメージカラーが特徴です。 |
ASTIA/ソフト | 落ち着いた発色とソフトな階調でしっとりとした表現に適してます。 ファッションポートレート撮影での使用を想定して設計されたリバーサルフィルム「フジクローム・アスティア」がベースとなっており、ソフトで忠実な肌再現と鮮やかな青空や緑の両立を目指しており、扱いやすいフィルムシミュレーションです。 |
クラシッククローム | 発色を抑え暗部のコントラストを高めることで落ち着いた表現に適しています。 20世紀のグラフジャーナル誌に使われた写真のような色再現を目指したフィルムシミュレーションで、彩度は低め、暗部の階調を硬めに設計されており、ドキュメンタリータッチでリアリズムを求める写真を撮る際などに最適です。 |
PRO Neg.Hi | コントラストを高めたややメリハリのあるポートレート撮影に適しています。 プロ用ネガフィルム「PRO160NH」がベースとなっており、「PRO Neg.Std」よりも階調がやや硬く、屋外など凝ったライティングができないシチュエーションでのポートレート撮影に適しているフィルムシミュレーションです。フラットなライティング下でも最適な陰影が得られます。 |
PRO Neg.Std | ニュートラルな階調で画像加工に適しています。 肌色の質感を再現したいポートレート撮影に適している。プロ用ネガフィルム「PRO160NS」がベースとなっており、階調と肌色の柔らかさが特徴で、作りこまれたライティングでのポートレート撮影に適しています。ニュートラルな階調により撮影後に画像加工を行う際にも最適なフィルムシミュレーションです。 |
クラシックネガ | 深い色とメリハリのある階調で被写体をしっかりとした立体感で表現します。 スナップシューターに愛用されてきたネガフィルム「SUPERIA」がベースとなっており、メリハリのある階調と彩度を抑えつつも明部と暗部の色味を変えることで深みを増した色で、立体的な表現が得られます。 |
ETERNA/シネマ | 落ち着いた発色と豊かなシャドウトーンで動画に適しています。 映画用フィルム「ETERNA」がベースとなっており、特定の色が主張しすぎないように彩度はおさえめ、急な白飛びや黒つぶれを防ぐハイエストとディープシャドウの非常に柔らかい階調により『シネマ・ルック』を実現しています。 |
ETERNAブリーチバイパス | 低彩度かつ高コントラストの独特な発色で撮影でき、動画撮影にも適しています。 動画用フィルムシミュレーションETERNAに多くの映像作家に支持されている『銀残し』のフィル現像効果を適用し、高コントラストでありつつも彩度は低く仕上げられた画は重厚感がありドラマチックな映像の撮影に適しています。 |
ACROS(Yeフィルター、Rフィルター、Gフィルター) | 質感豊かでシャープな表現のモノクロです。 『世界最高の粒状性』と称賛されたモノクロフィルム「ACROS」がベースとなっており、豊かなシャドゥディテールと高精細なシャープネスに加え、高感度では粒状感が増し、モノクロフィルムのような質感が得られます。 |
モノクロ(Yeフィルター、Rフィルター、Gフィルター) | シンプルなモノクロモードです。 |
セピア | セピア調で表現されるモードです。 |
撮影に使用した機材
今回フィルムシミュレーションを比較するにあたって使用したカメラは「X-E4」です。
最新の「クラッシックネガ」や「ETERNAブリーチバイパス」など現行で登場しているフィルムシミュレーションをすべて搭載しています。
フィルムシミュレーション比較サンプル
ここからは私が撮影した3種類のサンプルを紹介したいと思います。
風景撮影などで使用される青空や葉、花をサンプルとして撮影しました。
青空(BLUE)
カメラの設定はシャッター速度1/900S、絞りF5.6、ISO160固定で撮影しました。
PROVIA/スタンダード
Velvia/ビビッド
ASTIA/ソフト
クラシッククローム
PRO Neg.Hi
PRO Neg.Std
クラシックネガ
ETERNA/シネマ
ETERNAブリーチバイパス
ACROS
モノクロ
セピア
個人的な感想
風景撮影などで時として写真の枠を広く占領する青空です個人的には「Velvia」「ASTIA」のように高彩度で鮮やかな青が好みでした。時として「クラシッククローム」のようなシアン系の色を混ぜたような青空もノスタルジック風な表現をしたい場合に使えるのではないかと思いました。
葉(GREEN)
カメラの設定はシャッター速度1/100S、絞りF5.6、ISO1250固定で撮影しました。
PROVIA/スタンダード
Velvia/ビビッド
ASTIA/ソフト
クラシッククローム
PRO Neg.Hi
PRO Neg.Std
クラシックネガ
ETERNA/シネマ
ETERNAブリーチバイパス
ACROS
モノクロ
セピア
個人的な感想
「クラッシックネガ」は他のシミュレーションに比べて独特な色合いになっています。黄緑が抑えられて深い緑です。個人的にはこの深く、落ち着いた緑が一番好みです。逆に「Velvia」は彩度高めでイキイキとした葉を表現できていそうですが、誇張が激しいように感じました。
花びら(RED)
カメラの設定はシャッター速度1/500S、絞りF4、ISO320固定で撮影しました。
PROVIA/スタンダード
Velvia/ビビッド
ASTIA/ソフト
クラシッククローム
PRO Neg.Hi
PRO Neg.Std
クラシックネガ
ETERNA/シネマ
ETERNAブリーチバイパス
ACROS
モノクロ
セピア
個人的な感想
「クラッシックネガ」はオレンジ傾向がすごく、ハイビスカスを撮影していて南国感を一番強く表現できている気がしました。程よい鮮やかさのある「ASTIA」が好みかなあ。落ち着いて柔らかい赤を出したいときは「ETERNA」が良いのでと思いました。
まとめ
今回は富士フィルムのフィルムシミュレーション比較の紹介をしました。
15種類もの選択肢があると実際にいざ撮影しようとした時にどのフィルムシミュレーションを使って撮影しようか迷ってしまいます。
各フィルムシミュレーションの特徴を抑えることでより撮影が楽しく上手くなること間違いなしです。この記事が参考になれば幸いです。
下記の参考図書は富士フィルムのフィルムシミュレーションに特化した本になっており、富士フィルムユーザー必読の書となっていますので、皆さんも一度読んでみてはどうでしょうか(^_^)/