皆さんは「F値」や「絞り」といったワードを聞いたことがありますか。
絞りをコントロールすることによってボケを活かした写真や逆に全面にピントを合した撮影を行うことができます。
イメージ写真などの主役がはっきりしたものの撮影ではボケを活用して背景をぼかし被写体を浮かび上がらせることにより、写真を見る人の視線を被写体に向けることができ何が主役なのかはっきりすることができます。
逆に物撮りや製品撮影ではぼかしすぎると細部がどのようになっているのかわからなくディテールや特徴をうまく伝えられていないNGな写真になります。
今回はボケをコントロールする要素とボケの効果、作り方について解説します。
ボケは『絞り』『焦点距離』によって変わる
ボケの量をコントロールするには『絞り』、『焦点距離』、『カメラと被写体との距離』、『被写体と背景との距離』の4つの要素が関係します。これらの要素を組み合わせることによってイメージ通りのボケ量を作り出していきます。
絞りによるボケ
絞りはカメラの設定では『F値』という値で表現されます。F値は小さいほどボケの量は増え、F値が大きいほどボケの量は少なくなります。
下の写真はISO感度、シャッタースピード、焦点距離を変更せずF値のみを変更しています。プイプイモルカーの目にピントを合わせて撮影しました。F値が上がるにつれてボケ量も少なくなっていくのが分かります。

f / 2.8

f / 4

f / 5.6

f / 9

f / 14

f / 18

f / 22
焦点距離によるボケ
レンズの焦点距離の違いによってもボケの量は変化します。レンズの焦点距離が長いほど、ボケの量は増え、焦点距離が短いほどボケの量は少なくなります。
下の写真はISO感度、F値、シャッタースピード、被写体とカメラの位置を変更せず焦点距離のみを変更しています。プイプイモルカーの目にピントを合わせて撮影しました。
焦点距離が上がるにつれてボケ量が大きくなっているのが分かります。特に背景のボケ感が変化していきます。

35 mm

50 mm

60 mm

75 mm
さらに『カメラと被写体との距離』や『被写体と背景との距離』によってもボケの具合に違いが出ます。
カメラと被写体の距離が近いほど、また被写体と背景との距離が遠いほどボケ量が多くなります。
カメラと被写体が遠い場合
カメラと被写体が近い場合
また実際にどれくらいの焦点距離、絞りであればどのくらいボケるのかはわかりにくいため、カメラのファインダーを覗きながら自分が思っているボケ量に近づけていくのが良いですね。
まとめて表にしてみると以下のようになります。
ボケにくい | ボケやすい | |
絞り(F値) | ||
絞る(F値小さい) | ⇔ | 開く(F値大きい) |
焦点距離 | ||
短い(広角寄り) | ⇔ | 長い(望遠寄り) |
カメラと被写体との距離 | ||
遠い | ⇔ | 近い |
被写体と背景との距離 | ||
近い | ⇔ | 遠い |
イメージ写真で効果的なボケ
ではどれくらい被写体をボケさせればよいのでしょうか。
イメージ写真ではF値を小さくし絞ることによって背景をぼかし被写体に柔らかい印象を与えたり、立体感を与えたりすることが効果的だと言われています。
モノのイメージを強調するために背景にさまざまなものをスタイリングすることで主役を引きたてることができます。

ティータイムのスイーツ
製品写真で避けたいボケ
逆にモノのディテールや特徴を正確に伝える必要がある製品撮影ではぼかさずに被写体の全体にピントが合うように撮影する必要があります。
演出としてのボケテクニック
単純に背景をぼかして被写体を強調させるだけでなく、あえてボケを写真テクニックとして活用することでワンランク上の写真に仕上げることができます。今回は玉ボケと前ボケについて紹介します。
玉ボケ
木漏れ日やイルミネーションの光を背景にすることで、幻想的な玉ボケを写すことができます。F値を下げたり、被写体とカメラの距離を近づけたりすることでボケのサイズ感を調整してください。
前ボケ
被写体よりも前にあるものを写真の中に入れてぼかすことでふんわりと優しい印象を与えることができます。下の写真はスイセンの手前に同色の水仙を前ボケとして入れることで花の優しいイメージをプラスしました。
今回はカメラの設定によるボケの調整について紹介しました。F値を下げたり、焦点距離を変化させることでボケ量に変化を生むことができます。
設定を変えることで簡単にボケを活かした撮影をすることができるので是非皆さんも試してみて下さいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。