Column

測光方式の違いを理解して露出を正しく設定しよう!露出はモノや背景の明るさや色に影響される?!

2022年3月13日

カメラで撮影しているときに「もう少し明るくなればいいのに」「白くなりすぎているからもう少し暗くなればいいのに」と思ったことはないですか?

カメラで絞り優先やシャッター優先、AUTOモードで撮影しているとカメラ内で自動的に適切な明るさ(標準露出)を決めてくれます。
便利な機能なのですが、商品撮影やテーブルフォトなどで白や黒の背景が写真の大部分を占める状況ではモノが標準露出とならない場合も多くなってしまいます。

露出の基本的な理解と測光方式の違いを紹介してより満足のいくきれいな写真が撮れるようになりましょう。

カメラは標準露出に合わせようとする

そもそも標準露出とは何を指しているのでしょうか。
一般にモノが光を反射させる割合は平均して約18%とされており、カメラ全体で測定した明るさを平均してこの標準反射率18%になるように露出を決めています。

風景やスナップ撮影などではさまざまなものがフレームの中に映りこんでいるため全体が標準露出に近づきますが、物撮りなどでは白や黒の背景を使う場合が多く、モノが標準露出とならない場合があります。

おおよそ真っ黒に見えるものの反射率は3~4%、真っ白に見えるものは90%だそう。

全体が明るい(背景が白い)場合
全体が明るい場合はカメラの中で明るすぎると判断して、露出を暗くしようとします。結果的に被写体が暗く映ってしまいます。

全体が暗い(背景が黒い)場合
全体が暗い場合はカメラの中で暗すぎると判断して、露出を明るくしようとします。結果的に被写体が明るくなりすぎてしまいます。

測光方式の違いを理解しよう

一眼カメラにはいくつかの測光モードがあります。
私がメインで使用しているSony α7RⅢのカメラには『マルチ測光』、『中央重点測光』、『スポット測光』、『画面全体平均測光』、『ハイライト重点測光』があります。それぞれ違った特徴があるので撮影シーンに合わせて使い分けをマスターすれば一歩上の写真が撮れること間違いなしです。是非マスターしましょう。

マルチ測光(多分割測光、評価測光)

マルチ測光

マルチ測光イメージ

複数に分割したモニターを各エリアごとに測光し、画面全体の最適な露出を決定する方式です。通常の撮影ではこちらのマルチ測光にしておけば自動的に適正露出にし見た目に近い状態に仕上がるので失敗はほとんどありません。メーカーによって名称が異なっており、マルチパターン測光(ニコン)や評価測光(キャノン)などと呼ばれたりします。

上の写真では白背景では白飛びなどはありませんが、黒背景では一部フィギアの白い部分が白飛びしています。

通常の撮影ではこちらの測光モードを選択しておけば大体の露出は合うようにできているため初心者の方から上級者まで幅広く活用したいモードです。

逆光など明暗差が激しい場面での撮影では、被写体が真っ暗になることもあるため露出補正を変えたり、他の測光モードを選択する必要があります。

中央重点測光

中央重点測光

中央重点測光イメージ

モニターの中央部に重点をおきながら、全体の明るさを測光する方式です。次で紹介するスポット測光との大きな違いは、中央部だけでなく、中央以外の場所も測光している点にあります。中央にある被写体の露出をメインに合わせつつも全体のバランスを取りたいときに使用します。

被写体を画面の右側にずらしたい場合などは、あらかじめ中央で被写体をAEロックしてからずらす方法もあります。

上の写真の黒背景では中央部に黒いレンズを配置しているためマルチ測光に比べて明るく表示されています。

スポット測光

スポット測光

スポット測光イメージ

スポット測光サークル内のみの一部分だけを測光する方式です。画面内の特定の場所を部分的に即こうしたいときに適しています。例えば劇場、ライブ、結婚式などのようにスポットライトが顔に当たっていて明暗差が極端に激しい場面で使用するのに適しています。

上の写真では中央の黒いレンズのみを測光しているため、白飛び黒つぶれが発生しています。

画面全体平均測光

画面全体を平均的に測光する方式です。構図や被写体の位置によって露出が変化しにくく、AE動作の予測が容易になります。

ハイライト重点測光

画面内のハイライト部分を重点的に測光する方式です。被写体の白とびを抑えて撮影したいときに適しています。劇場や結婚式などのスポットライトが被写体に当たっているシーンで有効です。

おわりに

今回は測光方式の種類や違いについて紹介しました。
多くの撮影シーンではマルチ測光にしておけば安定した露出ミスのない撮影ができますが、中央重点測光やスポット測光も理解しておくと撮影のバリエーションが広がって便利です。自分で自由に測光モードをコントロールできるようになるとより一層撮影が楽しくなると思います。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

Takuro

フィルムカメラオタク|28歳|大阪在住
主に休日にフィルムカメラを片手にいろんな場所を訪れ、写真を撮るのが好きなごく普通のサラリーマンです。当ブログでは主にフィルムカメラに関する知識をわかりやすく発信しています!
■フォトコンに多数受賞歴あり
■フォトマスター検定1級取得
■カメラ歴6年目

★撮影依頼やレビュー記事の作成や寄稿、被リンク依頼はお問い合わせフォームより承っています。